遂昌龍谷茶(Suìchāng lónggǔ chá、遂昌龙谷茶)は「遂昌の龍谷の茶」、浙江省南西部の麗水市に属する山間の遂昌県(遂昌县)が産地の扁平な緑茶である。「龍谷」(龙谷)は県のブランドで、三つの茶を指す。針状の緑茶である龍谷麗人(龙谷丽人)、扁平な緑茶である龍谷茶、紅茶である龍谷紅茶(龙谷红茶)である。地理的表示の保護対象は扁平なもののみである。名称は、五年間この県の知県を務めた劇作家・湯顕祖と結び付けられている。2020年より農産物地理的表示、2025年より地理的表示保護製品となっている。
1. 分類と原産地
- 種類: 緑茶(绿茶, lǜchá)、扁平。ただし、保護要件は等級を名詞で呼ばず、製法に関する節も含まない。等級は同文書の品質記述、すなわち翠緑の茶葉、嫩緑の水色、嫩緑の葉底、そして県の文章から読み取れる。そこでは扁平な龍谷茶が扁平な緑茶(扁形绿茶)と明記されている。
- 名称の注意点: 「龍谷」ブランドは地理的表示より広い。保護要件の品質記述は県の文章(2022)にある扁平ラインの記述と一字一句同じであり、針状の龍谷麗人と紅茶の龍谷紅茶はこれに当てはまらない。
- カテゴリ: 県の名茶。地理的表示(2020、2025)。
- 原産地: 中国、浙江省(浙江, Zhèjiāng)、麗水市(丽水, Lìshuǐ)、遂昌県(遂昌, Suìchāng)。
- 保護地域: 保護要件によると、2街道委員会、7鎮、11郷、203行政村。面積は18,000 ha。
- 地理座標: 文書は東経118°41′–119°30′、北緯27°13′–28°49′とする。同県の蜂蜜(遂昌土蜂蜜)は公示の隣の行で北緯の下限を28°13′としており、茶の「27°13′」はおそらく誤記である。
2. 歴史と文化的意義
- 歴史:
- 古代。 参考記述によれば、隋唐時代に遂昌は全国55の茶産県に含まれ、北宋には遂昌の茶坊(茶坊)が全国四十大の一つだった。年代は資料により異なり、元祐年間(1086–1094)とするもの、省政府ポータルの県紹介は崇寧元年(1102)とする。週刊『農産品市場週刊』(2017)は南宋に貢納されたと書く。一次資料は確認できない。
- 湯顕祖。 『牡丹亭』(《牡丹亭》)の作者である劇作家・湯顕祖(汤显祖, Tāng Xiǎnzǔ)は五年間遂昌の知県を務め、茶を淹れる詩《竹嶼烹茶》を残した。最終行は資料により異なる。『中国作家網』のエッセイ(2022)と県の文章(2022)は「来試桃渓雨後茶」(桃渓の雨後の茶を試みに来る)、2017年の週刊誌は「来試遂昌龍谷茶」(茶名入り)とする。エッセイは、桃渓と玉井峰(玉井峰)は土地の名であり、知県はこの地の春茶を飲み、この名高い地元の茶が今は龍谷茶と呼ばれると説明する。この系統では「龍谷」の名は詩にない。県は「龍谷」の二字が湯顕祖自筆で残るとする。
- 2001。 県のニュース(2020)によれば、この年から県は茶産業と「龍谷」ブランドを築き、以降50回以上コンテストで受賞した。参考サイトによれば、同年に崑曲《昆曲・龍谷麗人》との茶芸公演も行われた。
- 2019年末。 申請は北京での2019年第4回農産物地理的表示専門家審査を通過した。67産品が審査され、県にとって4件目だった。
- 2020。 農業農村部公示第290号(2020年4月30日)で登録。その年の第1陣、全国312産品のうちの一つ。証書番号AGI02863、登録時の所持者は県茶業技術普及ステーション(遂昌县茶叶技术推广站)。12月25日、参考サイトによれば「全国名特優新農産品名録」(全国名特优新农产品名录)に収載された。
- 2024。 県農業局の回答(2024年12月)によれば、同年のブランド評価額は18.2億元。
- 2025。 国家知識産権局が公示第640号(7月16日署名、8月13日公開)で地理的表示保護製品として認定。1,409産品を収めた名簿の481行目。申請主体は県茶産業サービスセンター(遂昌县茶产业服务中心)。
- 2026年2月24日。 報道が県の「緑茶の最初の一杯」と呼んだシーズン開始。
- 名称: 「遂昌」(遂昌)は県名。「龍谷」(龙谷)は「龍の谷」。県の文章はそれを「神龍谷」(神龙谷)、遂昌山地の最勝地と解釈する。針状ラインの名にある「麗人」(丽人、美女)は杜麗娘への言及。
- 文化的意義: 県の文章(2022)によれば、扁平な龍谷茶は年間売上高5億元の県の主力茶で、「北に西湖龍井、南に遂昌龍谷」と言われる。同文書はこれを「中華文化名茶」(中华文化名茶)、第1回中国国際茶業博覧会の試飲茶と呼ぶ。同文書によれば、浙江省十大提名名茶(浙江十大提名名茶)と省十大旅遊名茶に入り、浙江省緑茶博覧会の公式茶を務め、中国茶葉博物館(中国茶叶博物馆)に収蔵され、県は扁平な龍谷茶を全国の龍井型扁平茶の価格指標と位置づける。
3. 植物学的記述と原料
- 品種: 保護要件によると、地元群体種(本地群体)、龍井系列(龙井系列)、白化(黄化)系列(白化(黄化)系列)、嘉茗1号(Jiāmíng 1 hào)、迎霜(Yíngshuāng)その他承認済みの中葉・小葉品種。白化品種が入っていても白茶や黄茶にはならない。これは原料であって等級ではない。2026年のシーズン初日、報道によれば嘉茗1号が摘まれた。
- 摘採規則: 「採留結合、量質兼顧、因園制宜」(摘採と残葉の組み合わせ、量と質の両立、園地の状況に応じた対応)。芽は完全で新鮮かつ均一。蒂頭(芽の基部の残り)、果実、古い葉柄や葉、異物が混じらないこと。
- 龍谷麗人: 県の文章によれば、清明から穀雨までに摘む。芽と開き始めたばかりの葉。芽は大きく均一。
- 管理: 文書によると、春の摘採後ただちに5–10 cmの浅刈り。夏は残葉しながら摘み、秋は早めに摘採をやめる。
4. テロワールと栽培の特徴
- 地域: 浙江省南西部の山地。週刊誌(2017)は県を「九山半水半分田」(九分の山、半分の水、半分の田)と表現する。森林率82.3 %、工業は少なく、「浙南の林海、雲霧の茶」と呼ばれる。
- 栽培高度: 保護要件は200–1,100 m、傾斜25°以下の斜面と丘陵、清浄な環境で微気候の良い場所。週刊誌によれば、茶園の80 %が標高400–800 mにある。
- 規模: 県農業局の回答(2024年12月)によれば、県の茶園は14.01万ムー、うち収穫面積は13.35万ムー。「遂昌龍谷茶」農産物地理的表示の核心基地は2,458ムー。国家級有機茶認証は1,900ムー、緑色食品(绿色食品)認証は4,557ムーの茶園。これらの数字は県内の茶全体を含む。
- 土壌: 土壌型のデータは確認できない。文書は植え付け前の元肥として、ムーあたり堆肥またはバイオガス残渣2.5–4トン、あるいは油かす100 kgを定める。
5. 製造技術
保護要件に加工の節はない。これは文書自体の欠落である。県の文章(2022)は、扁平な龍谷茶が「遂昌扁茶加工工芸」(遂昌扁茶加工工艺)で作られるとのみ述べ、工程とパラメータは確認できない。2026年の報道は自動化された工場で、原料が「青臭さを失い、扁平で細く、緑に輝く」とだけ描写する。
針状の龍谷麗人について、県の文章は五つの工程を挙げる。攤青(tānqīng)、殺青(shāqīng)、搓揉(cuōróu)、整形(zhěngxíng)、烘干(hōnggān)である。
紅茶の龍谷紅茶は県内で工夫紅茶の技術により作られる。保護要件の品質記述には当てはまらない。
6. 官能特性
記述は保護要件(扁平茶)による。
- 乾燥茶葉の外観: 扁平で細く均一、翠緑で光沢がある(外形扁平,挺削匀齐,色泽翠绿光润)。
- 乾燥茶葉の香り: 確認できる資料に個別の記述はない。
- 水色の香り: 栗香が豊かで持続的(栗香馥郁持久)。
- 味: 新鮮でまろやか(滋味鲜醇)。
- 水色: 嫩緑で明るい(嫩绿明亮)。
- 茶殻(抽出後の葉): 嫩緑で花のように開き、均一で明るい(叶底嫩绿成朵、匀齐明亮)。
文書の公式表現は「色翠、香郁、味鮮醇」、つまり「翠緑の色、豊かな香り、新鮮でまろやかな味」であり、2019年に省庁の専門家も同じ表現を用いた。
龍谷麗人は、県の文章によれば異なる外観である。眉のように丸く真っ直ぐな条索で、翠緑、産毛が目立つ(条形浑直似眉,色泽翠绿显毫)。香りは清らかで細やかかつ持続的、水色は嫩緑で透明、味は甘くまろやかで爽やか、葉底は細く嫩やかで明るい。杯の中で芽が縦に立ち、「踊る美女のよう」とされる。同文書はこれを「緑色食品」(绿色食品)と呼び、国際金賞を受賞したとする。2017年の週刊誌は「龙谷茶」の名でこの針状の茶を説明しており、扁平なものではない。
紅茶の龍谷紅茶は、同文書によれば、緊結して曲がった条索、黒く光沢があり、金毫がある。水色は金紅色で明るい。香りは甘く、飴糖香(饴糖香)がある。味は甘く爽快。葉底は紅く明るく、芽がある。保護要件には当てはまらない。
7. 化学成分
保護要件の物理化学的要件:
| 指標 | 要件 |
|---|---|
| 水分 | 7.0 %以下 |
| アミノ酸 | 2.5 %以上 |
| 茶ポリフェノール | 15 %以上 |
| 水浸出物 | 36 %以上 |
| 粉・砕片 | 1.0 %以下 |
他の成分データは確認できない。
8. 淹れ方
緑茶の一般的な方法。この茶に固有の推奨は確認できない。
- 湯温: 80–85 °C。
- 茶葉量: 150 mlに3 g。
- 器: ガラスコップ。龍谷麗人は必ず透明な器を用い、芽が立つのを見る。
- 手順:
- 器を温める。
- 茶葉を入れ、壁に沿って湯を注ぐ。
- 最初の抽出は40–60秒。
- 三分の一を残して飲む。
- 湯を継ぎ足す。
- 二、三煎まで繰り返す。
9. 保存
一般的な方法。密閉包装で冷蔵庫0–5 °C、光・湿気・匂いを避ける。一年以内に飲み切るのが良い。
10. 価格と偽物
2026年シーズン開始の報道によれば、嘉茗1号の生葉は1斤あたり100元以上、高品質の龍谷茶は家庭農場の代表によれば1斤あたり最大800元で売れる。
- 偽物を避けるには:
- 地理的表示保護製品の標章を探す。文書によれば、県内の生産者が県の知識産権部門に申請し、省が審査し、国が承認する。
- 保護対象は扁平な緑茶のみであることを覚えておく。
- 外観を確認する。翠緑で光沢のある扁平な葉、栗香、嫩緑の水色。
11. 興味深い事実
- 県の文章は、龍谷茶が湯顕祖の『牡丹亭』執筆に伴ったとし、針状ラインの名「麗人」はその主人公への言及だと主張する。
- 水分許容は7.0 %以下で、隣接する青田御茶や温州早茶(6.5 %以下)より緩い。粉・砕片は1.0 %以下。
- 保護要件に加工の節がない。同じ公示の隣接する茶にはある。
12. 他の扁平茶・麗水の茶との比較
- 西湖龍井(西湖龙井): 県が自ら比較する扁平茶の模範。「北に龍井、南に龍谷」。龍井系列の品種は龍谷茶の品種リストにもある。
- 青田御茶(青田御茶): 同じ麗水市の扁平な緑茶で、同じ公示で認定。栗香があるが、文書に詳しい技術が記載されている。
- 松陽銀猴(松阳银猴): 同じ麗水市松陽県の緑茶。鉤状に撚られ産毛があり、扁平な龍谷茶とは異なる。
- 烏牛早(乌牛早): 超早生品種の嘉茗1号。遂昌の2026年シーズンはこれで始まった。
結論として:
遂昌龍谷茶は山間の県の扁平な緑茶で、翠緑の茶葉、栗香、新鮮でまろやかな味を持つ。保護文書はその外観を記すが、技術には沈黙する。「龍谷」ブランドは地理的表示より広く、針状の龍谷麗人と紅茶も含む。その名は湯顕祖の詩句に支えられている。
出典
地理的表示
全リストは「出典」ページへ